自分の価値観を疑う事とはどういうことか? を学べる「逆さメガネで覗いたニッポン」

書評

この本は何かの「How to 本」ではありません。普段「AであればBである」という解答ばかり書いてあるビジネス本ばっかり読んでいる人は読了後がスッキリしないと思います。なぜなら僕がそうだからです笑 

難しい日本語や外来語が使われているわけではないので、なんとなくスラスラ読める。でも著者、養老孟司さんが言いたいコトを理解できているかというとそうではないんです。なぜならこれは思考法を述べている本だから。

この本を読むための前段階としてちきりんさんの「自分のアタマで考えよう: 「知識」にだまされない「思考」の技術」を読むことをオススメします。急がば回れ、そちらのほうが結果的に理解力は高まります。

この本ですが先にも述べたとおり養老孟司さんの思考の流れが書かれているんですね。中心は大多数の日本人が所属している「都市部(脳化社会)」です。これらの対比として「田舎」や「昔の日本」、「海外」などを取り上げてそれぞれの問題点を抽出しています。

そしてこれらの問題点を提起しているだけでほとんど養老孟司さんが思う答えは発表していないんです。なぜならその答えをコピーしてもあなたの中で情報として積み上がるだけだからです。

自分で深く考えたら自分と異なる価値観があるのは当たり前だからです。世の中「黒か白か」で割り切れるものは少ない。黒にも良い面があるし、白にも良い面がある。でも表面的な情報だけ積み上げるだけの学習では「黒か白か」の二元論に陥りがちなんです。

各々が考え他者の考えを尊重する世の中、それが「多様性」です。人間は放っておくと価値観が偏ってしまう。定期的に読み返し、「自分の価値観を疑う」癖をつけていきたいと思う本でした。

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